現在、認知症と言われているものの中には、主にアルツハイマー型、脳血血管性型、レビー小体型がありますが、この中で最も多いタイプがアルツハイマー型認知症(Alzheimer's dementia)です。これは、ドイツで初めてこの病気を発見した医師の名前なのです。
2015年には、世界で4,680万人の人がこの認知症になっているのですが、2030年には7,470万人が、さらに2050年には1億3,150万人という多くの人が認知症になると予測されています。
アルツハイマー型認知症は、脳の中にアミロイド-βやタウと呼ばれる特殊なたんぱく質が溜まり、脳神経細胞が崩れてしまうために、認知機能に障害が認められるものです。
認知症には、最近の出来事を忘れてしまうという現象が見られますが、これは脳の中の海馬という場所に病変が起きて記憶できなくなることが原因です。この記憶障害は、起こる数年前から脳に変化が見られています。この他にも、レビー小体認知症(脳にレビー小体という特殊なたんぱく質が溜まって起きるもの)と脳血管性認知症(脳の血管が詰まったり、出血したりして脳の神経細胞に障害をきたすもの)などがあります。
アルツハイマー型認知症の症状には、1)記憶障害、2)判断能力の低下、3)見当識障害などがあります。
1)記憶障害
誰でも、忘れていたことは思い出すことができるのですが、この認知症の場合には、約束していたことをすべて忘れてしまうのです。思い出すことすらできません。
2)判断能力の低下
料理をする場合、その手順がわからなくなり、調味料をどれくらい入れたらよいかもわからなくなります。また、掃除でもどれを捨てたらよいかがわからなくなります。
3)見当識障害
今日の日時がわからなくなったり、今どこにいるかがわからなくなったりします。買い物に出かけても、すぐに迷子になってしまうのです。
4)その他の心理状態
大事なものがなくなったりした場合、物とられ妄想や徘徊、介護拒否が見られるようになります。
それでは、アルツハイマー型認知症への対応について述べたいと思います。
まず、同じ話題を繰り返し行うことには、怒らないようにしましょう。同じことを言っても、言ってすぐに忘れてしまうので、その都度何度も言ってやることです。その際、「さっきも言ったでしょう」と決して怒ったりしないことが大切です。
約束がある場合は、カレンダーやメモ帳に大きく書き込んでおきましょう。薬の管理も、このようにカレンダーに貼っておくと良いと思います。
時計はアナログの方が良い場合があります。
さらに、徘徊をした場合は、周りの人の協力を十分に受けるようにしたいものです。様々なパターンがありますので、家族だけではなく、近所の人とも仲良く連携を保つようにしましょう。
現在、認知症に対する薬がないのが現状です。認知症に対して4種類の薬剤が出ていますが、いずれも進行を遅らせる効果しかないのが現状です。1日も早く良好な薬剤の到来が待たれるところです。
私はまだ大丈夫だと思っていても、やがてやってくるかもしれません。いつも頭は鮮明にしておきたいものです。
-院長 岡田昌義
posted by IYUKAI at 00:00|
健康情報のページ
|